下地処理費の落とし穴|見積もりと実行予算がズレる会社の共通点
「下地処理費が薄かった」と気づくのは、いつも工事が終わってからです。外壁塗装の現場で繰り返されるこのズレには、見積もり段階に共通した落とし穴があります。この記事では、原価管理で見落とされがちな下地処理費の構造と、ズレを減らす考え方を整理します。
工事が終わるたびに「また赤字だった」と気づく
築28年の鉄骨3階建て、外壁はALC(軽量気泡コンクリートパネル)。
見積もりは㎡単価で組んで、ケレン(さび・旧塗膜除去)は「1種ケレン相当」と一行書いただけ。
いざ足場を組んで壁面を見ると、爆裂箇所が想定の倍以上ありました。シーリング(目地充填材)の打ち替えも増え、下地調整材の使用量が見積もりの1.5倍に膨らみます。
「ケレン1日で終わるつもりが3日かかった」という話は、現場監督なら一度は経験しているはずです。
このズレが生まれる構造は、ほぼ共通しています。
- 下地処理を「㎡単価の内包」として丸めている
- ケレンの種別(1種〜4種)を現地確認せず積算している
- 人工(にんく:職人1人1日分の労務費)を歩掛(ぶがかり:作業1単位あたりの工数)から逆算していない
結果として、見積もりは取れても利益が残らない工事になります。
夜21時、事務所のデスクで原価表を開き直す。そういう夜が月に何度あるか、思い浮かべてみてください。
問題は「値付けが甘い」ことではなく、「下地処理費を独立した費目として管理していない」ことにあります。
下地処理費を「一式」で済ませると何が起きるか
塗装の原価は大きく分けると、材料費・労務費・経費の3層です。
このうち「労務費」に下地処理を含めて一式計上している会社は、現場ごとの利益がほぼ見えていません。
現場帰りの軽トラの中で、職長から「今日ケレンで半日取られました」とLINEが入る。でも見積もりにその半日分は入っていない。
こうした積み重ねが、月末の実行予算と乖離を生みます。
下地処理費を独立させるには、最低でも以下の粒度が必要です。
- ケレン種別ごとの歩掛(例:3種ケレン=0.15人工/㎡)
- 下地調整材(微弾性フィラーやエポキシ系下塗り)の標準塗布量(g/㎡)と希釈率
- 養生(ようじょう:飛散防止・保護のためのマスキング)の段取り(たんどり:準備作業)時間
- シーリング打ち替えを伴う場合の別途人工
これを現場ごとに記録すれば、次の見積もりに使える自社歩掛データになります。
どんなに経験のある現場監督でも、記憶だけで10件・20件の原価を管理するのは無理です。
「一式」で済ませているうちは、ズレの原因が特定できないまま同じミスを繰り返すことになります。
Angaが塗装業に特化している理由
Angaを開発したのは、株式会社イーテクノスの代表・井上恭介氏です。
塗装会社の経営者として現場に関わってきたからこそ、汎用の発注管理ツールでは解決できない問題を知っていました。
色番の確認電話が鳴り止まない事務所。「N80(日本塗料工業会の標準色番号)で頼んだのにND色で来た」という発注ミス。職人が「クリマイ」と略すクリーンマイルドシリコンを、事務員が別商品と混同する問題。
これらは「塗装業あるある」であり、汎用ツールには学習されていない文脈です。
Angaは、こうした塗装業固有のワードや略称を蓄積・補完できる設計になっています。
- 色番(日塗工・ND・SR系)の自動照合
- 職人ごとの略称・表記ゆれを学習して統一表記に変換
- 現場ごとの材料・人工・下地処理費を費目別に可視化
- 出面(でづら:当日の職人出勤記録)と労務費の自動連携
「うちの現場の言葉を理解してくれるツール」というのが、導入した会社からよく聞かれる感想です。
塗装業の原価管理は、塗装業を知っている人間が設計しないと、結局使われなくなります。
Angaはその前提から作られています。
ズレをなくすために今週できること
「下地処理費の落とし穴」に気づいても、すぐに全社の見積もりを変えるのは難しいです。
まず今週の現場1件から始める、という方法が現実的です。
直近で完工した外壁塗装の現場を1件選びます。見積書と実行予算を並べて、下地処理費の差額だけを確認してください。
「どこで何日ズレたか」が1件でも見えれば、次の見積もりに反映できます。
LINEに溜まった職長の日報を読み返す。そこにケレンや養生の時間が書いてあれば、それがあなたの会社の実歩掛です。
原価管理の精度を上げるには、3分艶(さんぶつや:艶あり塗料の艶を落とした仕上げ)の指定ミスや色番の取り違えと同じくらい、「下地処理費の独立管理」が基本になります。
Angaを使えば、現場ごとの費目別原価をリアルタイムで確認できます。
月に何時間も発注書と見積もりを突き合わせる作業が、大幅に減ります。
現場が10件あれば、確認・修正作業だけで月20時間前後は消えているはずです。
まずは7日間、実際の現場データで試してみてください。
「使えるかどうか」は、自分の現場で動かしてみないとわかりません。
ケレンを一式で見積もるのをやめたら、初めて現場の赤字の原因がわかった