足場代を別出しないと見積書は突き返される
2025年12月施行の改正建設業法で価格転嫁交渉が本格化します。足場代を塗装費に丸めた見積書は、元請から真っ先に突き返される時代になります。
塗装工事業の倒産動向
前年同期比増加
2026年1〜4月、職人不足・資材高騰が中小事業者を圧迫
改正建設業法の施行時期
2025年12月
請負代金変更方法の明確化と契約強化が柱
契約書の新規定
リスク情報提供義務
著しく短い工期の禁止と天候・下地リスクの明記が必須に
改正建設業法で見積書の「粗さ」が命取りになる
結論から言うと、足場代を別出ししていない見積書は、価格転嫁交渉のテーブルにすら乗りません。
改正建設業法では請負代金の変更方法が明確化され、契約内容の強化が求められています。資材高騰や人件費上昇分を転嫁するには、根拠となる内訳が不可欠です。「一式」でまとめた見積書では、どこが値上がりしたのか元請が判断できません。
築30年マンションの外壁改修現場を思い浮かべてください。足場代・洗浄・下地処理・上塗り2回・シーリングが全部「工事一式280万円」と書かれていたら、鉄骨単価が上がっても交渉の土台がありません。
- 足場代(架払・解体・養生シート込み)
- 高圧洗浄費
- 下地処理(ケレン・パテ処理)
- 塗料費(色番・希釈率込みの数量根拠)
- 諸経費
この5項目を分けるだけで、価格転嫁の説得力がまるで違います。
夜21時の事務所で、社長が電卓片手に「足場だけでも今年3割上がってるんだけどな」とつぶやきながら見積書を作り直す光景は、もう珍しくありません。
倒産急増の背景に「どんぶり見積書」あり
2026年1月〜4月、塗装工事業の倒産件数は前年同期比で増加しています。職人不足・資材高騰・原油やナフサの供給不安が重なり、中小・零細事業者を直撃しています。
この状況下で価格転嫁できない会社は、資材と人件費の上昇分をすべて自社で被ることになります。足場代を別出ししていない見積書は、まさにその典型です。
現場帰りの軽トラの中で、「今月の足場屋への支払い、去年より15万は高いな」と独り言をつぶやく現場監督も少なくないはずです。それでも元請への請求書は去年と同じ金額のまま、という会社が実際にあります。
- 足場代の変動を見積書に反映していない
- 契約書に価格改定条項がない
- 下地状況によるリスク(爆裂・浮き)を事前に明記していない
この3つが揃うと、価格転嫁交渉どころか、赤字受注を繰り返す構造から抜け出せません。倒産の背景には、こうした「どんぶり見積書」の積み重ねがあると見て間違いありません。
契約書の厳格化でリスク情報開示も必須に
改正建設業法では契約書の記載事項が厳格化され、著しく短い工期の禁止とリスク情報提供義務が新設されました。塗装業にとっては天候不順による工程遅延、下地状況の悪化などが該当します。
これまで「口約束」や「現場に入ってから追加請求」で対応していた会社は、契約段階での明記が求められます。
LINEに溜まった日報を夜に読み返すと、「本日雨天のため中断」「下地爆裂箇所あり、下塗り増し1回」といった記録が毎日のように残っているはずです。これらを契約書の変更条項と紐づけて記録できているかどうかが、価格転嫁の可否を分けます。
- 天候リスク(塗装不可日数の想定)
- 下地状況リスク(爆裂・クラック・旧塗膜劣化)
- 追加養生・近隣対応コスト
これらを見積書と契約書の両方に反映できる会社だけが、改正法後の交渉で対等な立場に立てます。逆に言えば、ここを整備するだけで交渉力は大きく変わります。
足場代だけでも去年より高いのに、見積書は去年のままなんだよな
塗装会社の現場感覚から生まれたAngaという選択肢
見積書を項目ごとに分解し、契約書にリスク条項を反映する作業は、口で言うほど簡単ではありません。色番N80とN85を間違えて発注した経験がある方なら分かるはずです。現場ごとの利益が見えない状態で、細かい内訳管理まで手が回らないのが実情です。
Angaは、この課題を解決するために塗装会社経営者である井上恭介(株式会社イーテクノス)が開発したツールです。汎用的な発注管理システムではなく、塗装業の歩掛・出面・人工・色番管理を前提に設計されています。
職人の癖(「クリマイ」でクリーンマイルドシリコンを指す、といった略称)まで学習し、発注ミスを防ぎます。足場代・下地処理・塗料費を自動で項目分解し、現場ごとの利益率をリアルタイムで可視化します。
色番確認の電話が鳴るたびに手を止めていた時間を、見積書の精度向上に回せる仕組みです。改正建設業法対応の第一歩として、まず自社の見積書を見直すきっかけになるはずです。