塗料残量を原価化しないと粗利が溶ける理由
1斗缶の余りを「もったいないな」で終わらせていませんか。缶単位発注のまま残量管理をしないと、粗利は現場ごとに静かに削られ続けます。
Q1. 塗料が余っても大した金額じゃないのでは?
1現場あたりは数千円でも、年間では大きな金額になります。
外壁塗装の現場では、下塗り・中塗り・上塗りごとに標準塗布量から必要缶数を計算しますが、実際は下地の状態や希釈率の調整で誤差が出ます。1現場で16kg缶の残量が3kg出るとして、これを毎回廃棄や放置していると、月10件こなす会社なら月30kg分、金額にして数万円が消えている計算になります。
夜21時の事務所で、井上さんは片付けながら「この余った塗料、次のクリマイ(クリーンマイルドシリコン)の現場で使えるのに」とつぶやきますが、在庫表に反映されないまま棚の奥にしまわれます。
- 残量を記録しない → 次回発注時に「念のため」でまた1缶多く頼む
- 色番(日塗工・N80など)ごとの在庫が見えない → 使えるはずの塗料を眠らせる
- 現場ごとの原価に反映しない → 粗利が実態より低く見える、または高く見える
この積み重ねが、缶単位発注を続けるほど粗利を溶かす構造そのものです。
Q2. なぜ「缶単位」の発注がそもそも問題なのか?
塗料は缶単位でしか買えないのに、使用量はkg単位で決まるからです。
築30年マンションの改修現場で、外壁面積から必要量を計算すると「184kg」と出ても、16kg缶なら12缶発注します。実際は192kgになり、8kg余ります。この8kgが次の現場で使い切れる色番であれば無駄になりませんが、色番が違えば倉庫の肥やしです。
多くの塗装会社では、この余剰分を「現場A」の原価としてそのまま計上し、次の現場では新たに満額発注します。つまり同じ塗料代を二重に払っているのと同じ状態です。
- 発注書だけで月20時間近く飛ぶ会社もある(現場10件規模の体感値)
- 色番の確認電話が現場から事務所にかかるたび、在庫の記憶を頼りに答えている
- LINEに溜まる日報を見返しても、残量までは書かれていない
改正建設業法(2025年12月施行)で人件費上昇への価格転嫁が求められる中、原価が見えない状態で見積もりを出すこと自体がリスクになっています。
Q3. 残量管理をやろうとしても続かないのはなぜ?
紙の発注書と現場の記憶に頼っているからです。
塗装会社の多くは、発注も在庫管理も「現場監督の頭の中」か「事務所のホワイトボード」で完結させています。これは属人化そのもので、監督が変わったり忙しくなったりすると、残量記録は真っ先に省略されます。
軽トラで現場から帰る途中、監督は「あの現場、N-70(日塗工色番)がまだ2kgあったな」と覚えていても、事務所に着く頃には別の現場の段取りで頭がいっぱいになり、記録し忘れます。
- エクセルで管理しようとしても、現場ごとに入力する人・タイミングがバラバラ
- 色番と製品名(クリマイ、SR系など)の呼び方が職人ごとに違う
- 結局、在庫確認の電話が一番早いという状態に戻る
業界では倒産件数が増加傾向にあり、職人不足と資材高騰が重なる今、こうした「なんとなくの発注」を続けられる余力がある会社は減っています。
あの色番、まだ倉庫にあったはずなんだけどな
Q4. どうすれば残量を原価に確実に戻せるのか?
現場ごと・色番ごとに残量を記録し、次回発注に自動で反映させる仕組みが必要です。
Angaは、この「塗料の残量を原価に戻す」という一点に特化したツールとして開発されました。開発者は塗装会社経営者である株式会社イーテクノスの井上恭介さんです。自身が現場で色番N80を間違えて発注した経験や、職人ごとに呼び方が違う塗料名(クリマイ→クリーンマイルドシリコン)に振り回された経験から、塗装業にしか刺さらない設計にしています。
- 現場ごとの残量を色番単位で記録し、次の現場で使える塗料を自動で提案
- 発注書作成にかかる時間を、現場監督の記憶頼みから解放
- 現場ごとの原価が見えるようになり、見積もり精度が上がる
M&Aや事業承継が業界で進む今、原価管理ができている会社ほど、事業の見え方(=会社の価値)が明確になります。細かい粗利の積み重ねが、5年後の経営体力の差になっていきます。