養生の巻き数2倍差、粗利誤差を放置する塗装会社
マスカーの巻き数は職人によって2倍近く差が出ます。それでも原価に反映せず放置している塗装会社は、現場ごとの粗利誤差に気づかないまま経営判断を続けています。
養生費原価比率の差
3%〜6%
職人の巻き数によって同規模現場でも原価比率が倍近く変わる体感値
養生資材は「なんとなく発注」されている
外壁塗装の現場で使うマスカー・養生シート・ブルーテープは、多くの会社で職人の感覚発注になっています。
築30年マンション改修のような足場面積が大きい現場では、養生だけで数万円分の資材が動きます。それでも発注書には「養生一式」としか書かれていないケースが大半です。
夜21時の事務所で、翌日の資材発注をLINEで済ませる社長は少なくありません。その場のやり取りでは、巻き数までは誰も確認していません。
- ベテラン職人は資材を絞って使う
- 若手は余裕を持たせて多めに巻く
- どちらも「経験則」であり数字ではない
この差が積み重なると、同じ坪数の現場でも原価が変わってきます。
職人ごとの巻き数差が粗利誤差になる構造
養生の巻き数は、職人の癖・現場の形状・下地処理の丁寧さによって変わります。ベテランは開口部の見切りを読んで最小限で済ませますが、経験の浅い職人は失敗を恐れて多めに巻きます。
この差は1現場では小さく見えても、月10件の現場を回す塗装会社では無視できない金額になります。
- 職人Aが担当した現場は養生費が原価の3%
- 職人Bが担当した現場は同じ規模で原価の6%
この誤差が原価計算に反映されないまま、現場ごとの粗利は「なんとなく良かった」「なんとなく厳しかった」で終わっています。
色番の確認電話と同じように、養生資材の使用量も現場ごとに記録すべき数字です。しかし多くの会社では、この記録自体が存在しません。
改正建設業法が求める「原価の見える化」
2025年12月施行の改正建設業法では、請負代金の変更方法や契約内容の明確化が求められています。これは価格転嫁の仕組み整備が急務であることを示しています。
養生資材のような細かい原価が可視化されていないと、価格転嫁の根拠自体が曖昧になります。人件費上昇への対応が必要な今、原価の内訳を説明できない会社は、元請との交渉でも不利になります。
- 契約書に明記すべき原価要素が増えている
- 天候・下地状況などのリスク情報提供義務も新設された
- 養生資材の使用量も「説明できる原価」にする必要がある
塗装工事業の倒産が前年同期比で増加している背景には、資材高騰だけでなく、原価管理の甘さも影響しています。現場ごとの誤差を放置したままでは、価格交渉の土台自体が崩れます。
Angaが「巻き数」を見る理由
Angaは、株式会社イーテクノス代表・井上恭介が塗装会社経営者として自ら開発したシステムです。
色番N80を間違えて発注した経験や、現場ごとの利益が最後まで見えないまま決算を迎えた経験から生まれました。
職人の癖(例えば「クリマイ」と呼ぶクリーンマイルドシリコンのような略称)を学習し、発注データに紐づけていく仕組みを持っています。養生資材についても、職人ごとの使用量傾向を蓄積し、原価計算に反映できるようにしています。
- 職人別の資材使用傾向を記録
- 現場ごとの粗利誤差を数字で可視化
- 発注書の「一式」表記から脱却
養生の巻き数なんて、誰も見てないんですよ
事務所でLINEに溜まる日報を眺めながら、養生費の差に気づかない状態を続けるか。それとも数字で管理するか。この選択が、次の決算書の粗利率を変えます。