日報1本の紛失で84万円消えた現場管理
職人11人、工期42日、使用缶数218缶。この現場でLINEの日報が1本行方不明になっただけで、出面と原価がずれ、最終利益が84万円溶けました。何が起きたか時系列で追います。
1. 最初の状態:LINEが3本、Excelが2枚
2. 問題が起きた瞬間:足場解体前日の「あの写真、どれでしたっけ」
3. どう動いたか:写真に工程タグを付けるだけから始めた
4. 結果どう変わったか、そしてこれからの現場管理
最初の状態:LINEが3本、Excelが2枚
築28年、5階建て47戸のマンション大規模改修でした。
工期42日、職人は多能工含めて延べ11人。使用した塗料は下塗り・中塗り・上塗り合わせて218缶。色番は日塗工のN-90(外壁)とND番手(付帯部)の2色構成でした。
現場管理の方法は、いたって普通でした。職人ごとのグループLINEが3本、監督個人のLINEが1本、出面(職人の日々の稼働記録)は事務所のExcelに手入力、原価は月末に経理が別のスプレッドシートで集計。
写真はLINEに流れっぱなし。どの写真がどの工程のものか、後から見ると誰にもわかりませんでした。
問題が起きた瞬間:足場解体前日の「あの写真、どれでしたっけ」
工期35日目、足場解体を翌日に控えた夕方でした。
施主側の管理会社から「シーリング打ち替え箇所の施工前後写真を全戸分まとめて出してほしい」と連絡が入りました。
監督がLINEを遡り始めましたが、3本のグループLINEに写真が散らばっていて、どれが何号室のものか特定できません。職人ごとに送信タイミングもバラバラで、日報のコメントと写真が紐づいていませんでした。
結局、全戸分の写真を探し直すのに丸2日かかりました。足場解体は2日延期。職人の手待ちが2人×2日分発生し、出面は増えたのに施主への追加請求はできません。
ここで84万円が消えた理由
延期による人工の持ち出しが約12万円。さらに厄介だったのは、この2日間の出面が「誰が何をしていたか」曖昧なまま月末の原価集計に紛れ込んだことでした。
決算時に振り返ると、この現場だけで人件費の計上ミスと重複請求漏れが合わさって、想定利益から84万円のズレが出ていました。原価と工程と写真がどこにも紐づいていなかったのが根本原因でした。
どう動いたか:写真に工程タグを付けるだけから始めた
この現場のあと、社長は「LINEをやめる」のではなく「LINEの流れ方を変える」ことにしました。
職人には変わらずスマホで写真を撮ってもらいます。ただし、写真を送る際に部屋番号と工程名(下地処理・中塗り・シーリングなど)をワンセットで入力するルールに変更。
出面も、その日の作業内容と紐づけて記録する方式に切り替えました。人工の入力と工程の記録を別々の帳簿でやらず、1つの記録として残す発想です。
最初の1週間は職人から「面倒くさい」という声も出ました。ただ、監督が写真を探す時間が1日あたり30分から5分に減ったことで、現場全体の空気が変わっていきました。
結果どう変わったか、そしてこれからの現場管理
次の現場、築15年の戸建て10棟の外壁塗装(工期18日、職人延べ6人)では、写真と工程と出面がすべて紐づいた状態で施主報告書を作成できました。
以前なら報告書作成に半日かかっていた作業が、1時間半で終わりました。原価も工程単位で見えるようになり、月末に「この現場、実は赤字だった」と気づくことがなくなりました。
業界の変化も待ってくれない
2025年12月施行の改正建設業法では、契約段階でのリスク情報提供義務や請負代金変更方法の明確化が求められるようになりました。天候や下地状況によるリスクを契約書に明記し、追加費用の根拠を示す必要が出てきています。
写真と工程と原価がバラバラのままでは、この「根拠を示す」作業自体が難しくなります。追加請求の交渉で「あの日、何が起きたか」を即座に出せるかどうかが、これからは経営の差になっていきます。
私たちイーテクノスも、もともと塗装会社を経営する中で同じ悩みを抱えていました。LINEで流れる写真と出面と原価がバラバラで、月末に現場ごとの利益が見えない状態が何年も続いていたんです。
その経験から、写真・工程・出面・原価を1つの現場記録として紐づけられるツール「Anga」を自社で作りました。LINEでの報告はそのままに、後から探す手間だけをなくす発想です。
現場のやり方を大きく変えずに、記録だけを紐づけたい方は、一度試してみてください。
よくある質問
Q. LINEでの現場報告をやめずに管理を改善する方法はありますか
やめる必要はありません。写真を送る際に部屋番号や工程名をセットで入力するルールを作るだけでも、後から探す手間は大きく減ります。工程と出面と原価を1つの記録として紐づける仕組みを併用すると、月末の原価集計もスムーズになります。
Q. 出面と原価がずれる原因は何ですか
出面(日々の稼働記録)と工程の紐づけが曖昧なまま月末にまとめて集計しているケースが多いです。作業当日に「誰が」「どの工程を」「何時間」やったかを記録し、原価計算にそのまま反映できる形にしておくとズレを防げます。
Q. 改正建設業法は塗装会社の現場管理にどう影響しますか
2025年12月施行の改正建設業法により、契約書へのリスク情報明記や請負代金変更方法の明確化が求められます。天候や下地状況による追加費用の根拠を、写真や工程記録から即座に示せる体制が必要になります。