職人が余るのに現場を断る、稼働率不可視の罠

>

職人が余るのに現場を断る、稼働率不可視の罠

職人が余るのに現場を断る、稼働率不可視の罠

職人が2人余っているのに、隣の現場からの応援要請を断る。そんな矛盾が塗装会社では珍しくありません。原因は気合いではなく、稼働率を数字で見る仕組みがないことです。


1. 「手が空いてる」のに断る、という矛盾

2. 本当の原因は3層に分かれています

3. なぜこの問題は何年も放置されてきたのか

4. 断る理由を数字で潰していく

5. 後継者不在という、もう一つの断る理由

「手が空いてる」のに断る、という矛盾

外壁塗装の現場を3つ抱える会社があるとします。Aは下地処理待ちで職人が半日暇、Bは吹付待ち、Cは応援が欲しいと電話してくる。

この状況、社長の頭の中には「なんとなく」の感覚しかありません。誰が今日どこで何時間動いているか、リアルタイムで数字にした表がないからです。

結果、「Cさん、今大丈夫か聞いてみるわ」と現場監督に電話を1本入れる手間を惜しんで、Cの要請はそのまま断られます。人が足りないのではなく、足りているのに見えていないだけです。

本当の原因は3層に分かれています

1層目・稼働率が可視化されていない

出面(現場ごとの職人の出勤・稼働状況)は日報や職人からの電話報告でしか把握できません。日報は現場が終わった後に上がるので、当日の空き時間には使えないデータです。

2層目・人件費が現場別に紐づいていない

どの現場にどれだけ人工(作業員1人1日分の稼働単位)がかかったか、決算のタイミングまで見えない会社は珍しくありません。応援に回した職人の人件費をどの現場のコストにつけるかが曖昧なら、応援を出す判断自体が怖くなります。

3層目・断る方が心理的に安全という現場文化

応援を出して失敗するより、断って何も起きない方が現場監督は責められません。仕組みがないから、個人の判断力と勇気に頼るしかなく、結局「今回は見送ります」が積み重なります。

なぜこの問題は何年も放置されてきたのか

塗装業は現場が分散していて、職人も一人親方や外注が混ざります。エクセルや紙の日報で管理していても、業界の景気が良ければ「断っても次の現場で回収できる」感覚で済んでいました。

ところが2026年に入り、状況が変わりました。塗装工事業の倒産は今年1〜4月で前年同期より増えています。職人不足に加え、資材高騰と原油・ナフサ供給不安が重なり、余裕のあった経営体力が削られているためです。

加えて2025年12月施行の改正建設業法では、労働者の待遇改善が求められ、長時間労働で穴埋めする従来のやり方が難しくなりました。人件費は上がる一方で、現場を断れば売上が減る。両側から締め付けられる構造に、可視化の甘さが放置できる余裕はもうありません。

断る理由を数字で潰していく

まず必要なのは、日報が上がる前に「今日、誰がどこで何時間動いているか」を見られる状態にすることです。紙やLINEの報告を後から集計するのではなく、リアルタイムで拾う仕組みに変えます。

次に、現場ごとの人件費を人工単位で紐づけます。応援に回した職人のコストがどの現場につくかが見えれば、応援の可否を感覚ではなく数字で判断できます。

改正建設業法では請負代金の変更方法や契約内容の明確化も求められています。稼働実績が数字で残っていれば、追加費用の交渉材料にもなり、価格転嫁の根拠づくりにも直結します。

私たちイーテクノスも、もともと塗装会社を自社で経営していて、この「断る理由が数字で見えない」状態にずっと悩んできました。現場ごとの利益が決算まで分からず、応援を出す判断がいつも勘頼りだったからです。そこで生まれたのがAngaです。現場ごとの出面と人件費をリアルタイムで見える化し、稼働率を数字で判断できるようにしています。応援を出す・断るの判断を、感覚ではなく数字に戻したい会社に向いています。

手が空いてるの分かってても、断る方が楽なんですよ。

後継者不在という、もう一つの断る理由

稼働率が見えないまま社長が高齢化すると、次の選択肢はM&Aや事業承継です。塗料業界でも後継者問題を背景に、中小企業と大手企業の統合が進んでいます。

中小企業庁や商工会議所には事業承継やM&Aの相談窓口があり、専門家派遣やマッチング支援を受けられます。自治体独自の事業承継補助金もあるので、所在地の制度は一度確認しておく価値があります。

人材確保等支援助成金のような採用・育成向けの助成金も、職人の採用や職場環境改善に使える可能性があります。断る理由を減らす打ち手は、社内の仕組み改善だけでなく、外部の支援制度にも広がっています。

よくある質問

Q. 塗装業の人手不足対策として、まず何から始めればいいですか

職人を増やす前に、今いる職人の稼働率を数字で把握することから始めてください。現場ごとの出面と人件費が見える化されると、応援に回せる人が実は社内にいたと分かるケースが多くあります。採用より先に手を打てる部分です。

Q. 現場ごとの人件費を紐づけるのは大変そうですが、紙の日報でもできますか

紙でも不可能ではありませんが、集計に時間がかかり当日の判断には使えません。リアルタイムで拾えるツールを使うと、その日のうちに応援の可否を判断できるようになります。まずは1現場から試すのが現実的です。

Q. 改正建設業法は塗装会社の人手不足対策にどう関係しますか

労働者の待遇改善が必須化され、長時間労働で人手不足を補うやり方が難しくなります。人件費上昇分を請負代金に転嫁する仕組みづくりが急務になり、そのためにも現場別の人件費把握が欠かせません。

あわせて読みたい


By

お問い合わせ

些細なことでもお気軽にご連絡ください。