塗料在庫、二重発注と欠品が同時に起きる理由
倉庫を見て「まだあるな」で発注する会社ほど、同じ色を二重発注し、別の現場で在庫切れを起こします。紙・Excel・専用アプリ、どれが自社に合うのか比較で答えます。
1. 倉庫を見て把握する会社が、なぜ同時に余剰と欠品を起こすのか
2. 紙・Excel・専用アプリで比較すると差がはっきり出る
3. 表だけでは見えない「共有のしやすさ」の差
4. どの手段を選んでも変わらない「運用ルール」の話
倉庫を見て把握する会社が、なぜ同時に余剰と欠品を起こすのか
外壁塗装を10件同時に回している会社の倉庫には、20kg缶が何十本と並びます。ND-4050の缶とND-4060の缶が隣り合っていれば、パッと見で区別できる人はそう多くありません。
見た目の量で「まだ足りる」と判断しても、それは合計量であって現場ごとの割り当てではありません。A現場向けに確保していた缶を、B現場の職人が知らずに使ってしまう。これが余剰発注と在庫切れが同時に起きる最大の理由です。
発注担当者は倉庫を見て発注し、現場監督は現場を見て「足りない」と騒ぐ。両者が見ている場所が違う時点で、感覚での在庫把握はもう機能していません。
紙・Excel・専用アプリで比較すると差がはっきり出る
同じ「在庫を把握する」という業務でも、手段によって手間もミス率もまるで違います。まずは表で全体像をつかんでください。
| 手段 | 手間 | ミス率 | 共有のしやすさ | コスト |
|---|---|---|---|---|
| 紙の台帳 | 記入は簡単だが転記・集計に時間がかかる | 高い(記入漏れ・書き間違いが起きやすい) | 低い(台帳が1冊しかなく複数人が同時に見られない) | ほぼゼロ円 |
| Excel | 入力は事務所での手作業が中心 | 中程度(入力遅延で実態とズレやすい) | 中程度(ファイル共有は可能だが同時編集に弱い) | ほぼゼロ円(ただし作成・保守の人工がかかる) |
| 専用アプリ | 現場からスマホで即時入力できる | 低い(入力と同時に全員へ反映) | 高い(事務所・現場・元請けで同じ数字を共有できる) | 月額費用が発生 |
表だけでは見えない「共有のしやすさ」の差
紙の台帳が崩壊するタイミング
紙の台帳は、書く人が1人なら回ります。崩れるのは現場が増えて、複数人が同時に在庫を動かす瞬間です。
倉庫番の職人が休みの日に、別の職人が缶を持ち出すと、台帳への記入が翌日に持ち越されます。その1日のズレが、発注担当者の頭の中の在庫数を狂わせます。
Excelが「結局誰かの手作業」に戻る理由
Excelは紙より計算が楽になりますが、入力は結局人力です。現場から事務所に戻ってから入力する運用だと、リアルタイム性は紙とほぼ変わりません。
関数でアラートを組んでも、入力が漏れれば意味を持ちません。Excelは「集計を楽にする道具」であって「入力を楽にする道具」ではないという点が見落とされがちです。
専用アプリで変わるのは入力の手間そのもの
専用アプリの強みは、現場でスマホから缶数を打つだけで、事務所の画面にも同じ数字が反映される点です。倉庫番と発注担当者と現場監督が、同じ数字を同時に見られます。
希釈率や標準塗布量から使用量を逆算する機能があれば、感覚ではなく数量で在庫を語れるようになります。
どの手段を選んでも変わらない「運用ルール」の話
手段を変える前に、決めておくべきことがあります。誰が・いつ・どの単位で在庫数を更新するか、というルールです。
アプリを導入しても、現場から「あとで入れます」が続けば紙と同じ結果になります。逆に紙でも、毎日夕方に1人が必ず集計する運用なら、そこそこ機能します。
手段そのものより、更新の頻度と担当を固定できるかどうかが分かれ目です。私たちも自社の塗装現場で、色番を間違えて余分な缶を発注した経験があり、そこから在庫を数量で見える化する仕組みを作りました。
専用アプリのAngaは、現場からスマホで在庫を更新でき、色番ごとの残量が事務所からも見えます。倉庫を見なくても、画面を見れば今どの現場に何缶あるか分かる状態を目指して作ったツールです。
倉庫見て『まだあるな』って言った次の日に、現場から電話で足りませんって言われるんですよ
よくある質問
Q. 塗料の在庫管理はExcelだけでも十分ですか
現場が2〜3件で、入力担当が1人に固定できるなら十分に機能します。ただし現場が5件を超えて複数人が在庫を動かすようになると、入力漏れとズレが増え、Excelの集計機能を活かせなくなります。
Q. 在庫管理を始めるなら何から手をつければいいですか
まずは色番ごとに現在の在庫缶数を数え直すことから始めてください。感覚値をリセットして正確な数量を把握しないと、紙でもアプリでもその後の運用が最初からズレたまま進んでしまいます。
Q. 専用アプリは職人が使いこなせますか
入力項目を色番と缶数だけに絞ったアプリであれば、スマホ操作に慣れていない職人でも数分で覚えられます。操作項目が多いアプリほど現場で使われなくなるため、シンプルさを基準に選ぶことをおすすめします。