平均年齢60代なのに新卒採用に頼る塗装会社の末路
平均年齢60代なのに新卒採用ばかり追う塗装会社が多いのはなぜか。技術継承と引退管理を紙・Excel・アプリで比較し、廃業リスクを放置しない方法を考えます。
1. 引退の朝は突然来る
2. 紙・Excel・アプリで何が変わるか
3. 表で見る技術継承・引退管理の手段比較
4. 継承は「技術」より先に「予定」を決める
5. 見えていないものは管理できない
引退の朝は突然来る
ある塗装会社で、吹付一筋42年の職人が年明けから来なくなりました。
年末の忘年会で「もう膝が限界だから」と一言。社長は初耳でした。
その職人しかできない立体艶(3分艶)の仕上げがあり、得意先のマンション改修は次の担当が決まらないまま止まりました。
引退は事故と同じで、前触れなく起きるものではありません。実際は本人の中で何年も前から決まっています。
ただそれを会社側が把握していなかっただけです。年齢・体力・意欲を誰も記録していなかったからです。
紙・Excel・アプリで何が変わるか
技術継承と引退管理を「紙の台帳」「Excel」「専用アプリ」でやった場合、結果はかなり違います。
紙は現場監督の頭の中とセットになっていて、その監督が異動すれば情報ごと消えます。
Excelは作れても更新が止まります。誰か1人が入力担当になり、その人が忙しい月は半年放置されます。
アプリは各職人の出面(現場に入った日数)や担当工種が自動で溜まるので、年齢・稼働日数・得意分野が一覧で見えます。
差が出るのは「更新の手間」の設計です。人が入力し続ける仕組みは、必ずどこかで止まります。
表で見る技術継承・引退管理の手段比較
同じ「誰がいつ引退しそうか」「誰にどの技術を継がせるか」を管理する場合でも、手段によって手間もミス率も全く違います。
下の表は、現場10〜20人規模の塗装会社を想定した体感値です。
| 手段 | 手間 | ミス率 | 共有のしやすさ | コスト |
|---|---|---|---|---|
| 紙の台帳 | 更新は月1回あるかないか、担当者依存 | 高い(記入漏れ・紛失あり) | 監督個人の頭の中に依存、異動で消える | 台帳代のみだが実質は放置コスト大 |
| Excel | 入力担当者の負担が集中し止まりがち | 中程度(上書きミス・バージョン違い) | メールやUSBでのやり取りで属人化 | 無料だが更新が止まれば無価値 |
| 専用アプリ | 現場入力から自動集計、手間は最小 | 低い(入力漏れをシステムが検知) | 全社員がリアルタイムで同じ画面を見られる | 月額費用はあるが管理工数削減で相殺 |
継承は「技術」より先に「予定」を決める
技術継承というと、若手に付きっきりで指導するイメージが強いです。
ですが本当に先に決めるべきは「あの職人はあと何年現場に立てるか」という予定です。
予定が見えていれば、ケレン(下地処理の一種)から下地処理、吹付まで、工程ごとに引き継ぐ順番を組めます。
予定が見えていないと、いつも「今できる若手」に頼るしかなく、結果として新卒採用だけが対策になってしまいます。
60代の職人が抜けたときの穴を、20代の未経験者で埋めようとする無理が、この構造から生まれています。
見えていないものは管理できない
私たちイーテクノスも塗装会社を経営していて、同じ壁にぶつかりました。
ベテランの出面や担当工種、体調の変化を誰も一元的に見ていなかったのです。
見積・工程・職人の稼働まで1つの画面で管理できるようにしたのが、私たちが自社の現場で困って作ったAngaです。
職人ごとの現場履歴が自動で残るので、「誰がどの技術を持っていて、あと何年動けそうか」が数字で見えるようになります。
紙やExcelで止まっていた更新を、現場の日々の入力からそのまま拾う形にしています。
あいつが抜けるって、去年の忘年会まで誰も知らなかったんだよな
よくある質問
Q. 職人の高齢化はなぜ新卒採用だけでは解決しないのですか
新卒が育つには3〜5年かかりますが、ベテランの引退は数か月単位で急に来ます。育成期間と引退時期がずれるため、採用だけに頼ると必ず技術の空白期間ができてしまいます。
Q. 技術継承の管理はExcelでも十分ではないですか
小規模なら十分な場合もありますが、更新担当者が忙しくなると止まりやすい点が弱点です。誰の入力にも依存せず現場データが自動で溜まる仕組みでないと、半年後には形骸化しやすくなります。
Q. 引退時期はどうやって把握すればいいですか
年齢だけでなく、直近1年の出面日数や担当工種の変化を記録しておくと予兆が見えます。急に休みが増えたり担当工種が減ったりする傾向を早めに拾えれば、引き継ぎ計画を前倒しできます。