塗装の発注ミス|二重手配と資材不足が消えない理由
シーラーが2缶多く届いた翌日に、別の現場では下塗り材が足りず職人が手待ちになる。よくある光景ですが、原因は担当者の不注意ではなく発注のやり方そのものにあります。
1. 症状:二重手配と欠品が同じ月に同時発生する
2. 本当の原因①:発注が『個人の記憶』に依存している
3. 本当の原因②:発注経路が現場ごとに最適化されている
4. なぜ今まで放置されたか:ミスの帳尻が『現場の踏ん張り』で合ってしまう
5. どうすれば断てるか:発注経路を1本にして、履歴を残す
症状:二重手配と欠品が同じ月に同時発生する
築20年の外壁塗装現場で、シーラーが余分に届く一方、隣町の現場では下塗り材が切れて職人が半日手待ちになる。塗装会社ではこの2つが珍しく同時に起きます。
多くの社長は「発注担当が注意すれば直る」と考えます。ですが現場監督が5人いれば、発注ルートも5通りあるのが実情です。ある監督は塗料屋に電話、別の監督はFAX、また別の監督はLINEで直接職人に頼む。
同じ会社なのに、発注の入口がバラバラなまま何年も回っています。
本当の原因①:発注が『個人の記憶』に依存している
現場監督は塗布面積も残塗料も頭の中で管理しています。ですが在庫は会社全体で共有すべき情報です。
監督Aが先週発注したシーラーの残数を、監督Bは知りません。結果として、同じ塗料を別々に注文する二重手配と、逆に「誰かが頼んだはず」という思い込みによる欠品が、表裏一体で発生します。
これは個人の能力の問題ではなく、在庫という共有情報が誰の手元にも一元化されていない仕組みの欠陥です。
本当の原因②:発注経路が現場ごとに最適化されている
現場が10件あれば、発注書のやり取りだけで月20時間は消えるという声はよく聞きます。ただし時間より深刻なのは、経路の分散です。
電話は聞き間違いが起きやすく、色番(日塗工番号)の読み違えは今も現場であるあるの失敗です。FAXは字が潰れて希釈率や数量が誤読されます。LINEは個人の端末に発注履歴が残るだけで、会社としては何も蓄積されません。
経路が違えば検証もできない
電話・FAX・LINEが混在すると、後から「誰が何を、いつ、いくつ頼んだか」を突き合わせる手段がありません。ミスが起きても再発防止の材料が残らないのです。
なぜ今まで放置されたか:ミスの帳尻が『現場の踏ん張り』で合ってしまう
二重手配は在庫が増えるだけなので、経理上はただの余剰在庫として処理され、問題として認識されにくいです。欠品も、近くの塗料屋に走らせたり、他現場から材料を融通したりして、その日のうちに現場が何とかしてしまいます。
余ったシーラー見て、また同じ失敗かってため息出ますよ。
つまり発注の仕組みが壊れていても、現場の踏ん張りで表面上は工程が止まりません。社長の耳に届く頃には、すでに解決済みの過去の出来事になっている。だから「今度気をつけよう」で終わり、仕組みは何年も変わらないままです。
どうすれば断てるか:発注経路を1本にして、履歴を残す
解決の方向性はシンプルです。発注の入口を電話・FAX・LINEの3経路から1経路に統一し、誰が何を頼んだか記録に残す。それだけで二重手配は物理的に起きにくくなります。
在庫の残数も、監督の記憶ではなく共有できる場所に置く。これができれば、欠品の予兆にも気づけます。
私たちイーテクノスも塗装会社を経営していて、まさにこの二重手配と欠品を同時に抱えていました。現場監督ごとに発注ルートが違うことが根本原因だと気づき、発注をLINEベースで一元管理できるAngaを自社の現場のために作りました。発注履歴と在庫が1か所に残るだけで、電話の聞き間違いもFAXの読み違えも起きようがなくなります。
発注のやり方を変えるだけで直るミスなら、まず経路を1本に絞ることから試してみる価値はあります。
よくある質問
Q. 発注ミスは新人監督だけの問題ではないのですか?
経験の長い監督でも起きます。原因は個人の注意力ではなく、電話・FAX・LINEなど発注経路が現場ごとにバラバラで、在庫情報が共有されていないことにあります。ベテランほど自己流の経路を持っているため、実は改善しにくいケースもあります。
Q. 発注経路を1本化すると現場の負担は増えませんか?
最初は入力の手間が増えたと感じることもありますが、電話での聞き返しや在庫確認の手間がなくなるため、トータルでは月20時間前後かかっていた発注業務が短縮される会社が多いです。履歴が残る分、後からの確認作業も減ります。
Q. 小規模な塗装会社でも発注の仕組み化は必要ですか?
現場が2〜3件でも、監督が複数いれば同じ問題は起きます。会社の規模より、発注経路が何通りあるかが二重手配と欠品の発生確率を左右します。人数が少ないうちに1経路に統一しておくと、後の混乱を防げます。