塗装業の利益率とは?下がる原因と見える化の方法を解説!

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塗装業の利益率とは?下がる原因と見える化の方法を解説!

更新日:2026年10月13日 | 約9分で読めます | 監修:井上恭介(株式会社イーテクノス 代表取締役)

月末に通帳残高を見てようやく今月の出来を知る、という塗装会社は少なくありません。この記事では塗装業の利益率が現場ごとに把握しづらい理由を、原価管理の構造から掘り下げて解説します。読み終える頃には、忙しい月ほど赤字に気づけない仕組みと、その対策が分かります。


目次

  1. 塗装業の利益率とはどう決まるのか
  2. いま塗装会社の現場で起きていること
  3. 利益率が見えなくなる本当の原因
  4. 工事別の原価管理を放置するとどうなるか
  5. 工事別の原価を見える化する対策の選択肢
  6. 工事別の原価管理を始める手順
  7. LINEの日報から粗利を把握する利用イメージ

塗装業の利益率とはどう決まるのか

粗利と利益率の基本的な考え方

塗装業における利益率は、工事で得た売上から材料費や労務費などの原価を引いた粗利を、売上で割って求めます。たとえば外壁塗装一式の請負金額から、塗料代や職人の人工代、足場代を差し引いた残りが粗利です。この粗利をどれだけ確保できているかが、会社の体力を左右します。

塗装工事の原価に含まれる項目

原価には塗料や下地処理材などの材料費、職人の人工代、足場や養生にかかる費用、産業廃棄物の処理費などが含まれます。外壁塗装の現場であれば、ケレン(錆や旧塗膜を落とす下地処理)や吹付の工程ごとに人工がかかり、天候による延期があればその分の人工も積み増しになります。これらを現場ごとに積み上げて初めて、正確な原価が見えてきます。

工事別の利益率と会社全体の利益率は別物

会社全体の決算書を見れば年間の利益率は分かりますが、それだけでは個々の工事のどこで利益が出て、どこで削られたのかが分かりません。工事別の利益率を把握して初めて、見積の精度や歩掛(作業1単位あたりの工数)の妥当性を検証できます。会社全体の数字だけを見ていると、黒字現場が赤字現場の損失を覆い隠してしまう事態が起こり得ます。

いま塗装会社の現場で起きていること

通帳残高で今月の出来を判断している実態

多くの塗装会社では、工事ごとの収支を都度計算するのではなく、月末に通帳の残高を見て「今月は良かった」「今月は厳しい」と感覚的に判断しています。入金と出金がまとまって動く月末になって初めて、会社の状態を知る形です。これでは、どの現場が利益を押し上げ、どの現場が足を引っ張ったのかまでは分かりません。

忙しい月ほど数字を見る余裕がなくなる

受注が重なり現場が複数同時に動く月ほど、現場監督も職人も段取りと人の手配に追われます。原価を集計する時間は後回しになり、気づけば工事が完了して次の現場に移っている、という流れが繰り返されます。皮肉なことに、本来いちばん原価を確認すべき忙しい月ほど、数字を見る余裕がなくなっていきます。

どんぶり勘定でも回ってしまう業界構造

塗装業は職人の経験と勘で工程が進み、見積もおおよその相場観で作られることが珍しくありません。それでも工事自体は完成し、代金も入金されるため、原価を数値化しなくても業務そのものは回ってしまいます。この「回ってしまう」ことが、原価管理を後回しにする最大の落とし穴になっています。

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職人はいつものLINEで日報を送るだけです。現場名の直しや人工の判定、出面台帳への記録はAIが行います。

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利益率が見えなくなる本当の原因

原因1:工事ごとに原価を集計する仕組みがない

多くの塗装会社では、材料の仕入れ伝票や職人への支払いが、会社全体の経費としてまとめて処理されています。どの現場にいくらの材料費がかかり、何人工の職人を投入したのかを、工事単位で紐づける仕組み自体が存在しないケースが多く見られます。仕組みがなければ、担当者がどれだけ注意していても現場別の原価は積み上がりません。

原因2:人工(にんく)の計算が現場任せ・自己申告になっている

人工の記録は、職人からの口頭報告や手書きのメモに頼っている会社が少なくありません。半日作業なのか終日作業なのか、応援に入った職人の人数は何人かといった情報が、現場監督の記憶や職人の自己申告に委ねられています。集計のタイミングで記憶があいまいになったり、申告にばらつきが出たりすることで、実際の労務費と帳簿上の人工がずれていきます。

原因3:出面(でづら)の記録と請求処理が月末にまとめてしか行われない

出面(現場への出勤状況を示す記録)は日々発生する情報ですが、多くの現場では月末にまとめて台帳へ転記しています。工事が完了してから数週間後にようやく記録を整理するため、ある現場の原価がいくらだったかを確認できるのは、次の現場がすでに始まったあとになりがちです。このタイムラグが、赤字に気づくタイミングを遅らせる直接の原因になります。

原因4:売上と入金のタイミングがずれて感覚が狂う

塗装工事は着工から完工、さらに請求から入金までに一定の期間が空きます。先月完了した現場の入金が今月になって通帳に反映されることも多く、どの入金がどの工事に対応するのかが感覚的に分かりにくくなります。結果として、通帳残高が増えていても、それが今動いている現場の成果なのか、過去の現場の清算なのか判別できないまま、経営判断が進んでしまいます。

工事別の原価管理を放置するとどうなるか

歩掛が崩れた現場に気づかないまま次の見積を出す

築30年マンションの外壁改修のように、下地処理に想定以上の手間がかかる現場では、歩掛が計画から崩れることがあります。この崩れを数値で把握できていないと、同じような想定で次の見積を作ってしまい、同じ原因でまた利益を削ることになります。

赤字現場の原因が分からず同じ失敗を繰り返す

赤字だったことは通帳残高や決算で分かっても、それが材料のロスなのか、人工の見込み違いなのか、追加工事の無償対応なのかが分からなければ、対策の打ちようがありません。原因が特定されないまま時間が経つと、同じ種類の失敗が別の現場でも繰り返されます。

忙しいのに手元に残らない状態が常態化する

受注が途切れず現場が埋まっているのに、なぜか資金繰りが楽にならないという状態は、工事別の原価が見えていない会社に起こりやすい症状です。忙しさと利益が比例しないまま時間が過ぎると、職人を増やしても粗利は増えず、会社の体力だけが消耗していきます。

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Anga(アンガ)|日報から現場ごとの数字が見える

送られた日報が出面台帳と労務費に自動でつながり、現場ごとの粗利を確認できます。

  • 出面台帳への自動記録・労務費の自動計算
  • 月末の出面集計
  • 現場ごとの粗利レポート(金額が見えるのは管理者だけ)
  • 職人の言い方を覚える学習機能
  • 送信から3分間は取り消せる猶予

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工事別の原価を見える化する対策の選択肢

エクセルで現場ごとに原価台帳を作る方法

現場名ごとにシートを分け、材料費・人工・外注費を手入力でまとめる方法です。費用をかけずに今すぐ始められる点が魅力で、塗装会社の規模を問わず取り組みやすい方法といえます。ただし入力作業がすべて手作業になるため、現場数が増えると担当者の負担が大きくなり、更新が後回しになりがちです。

原価管理システムを導入する方法

見積・発注・原価集計を一元化できるシステムを使う方法です。工事別の粗利が自動で集計されるため、月中でも現場の採算を確認しやすくなります。一方で初期設定の手間や月額費用が発生するため、現場数や管理したい粒度に見合うかどうかの見極めが欠かせません。

日報と出面管理を連動させる方法

職人が送る日報から人工や現場名を拾い、出面台帳に自動で反映させる方法です。現場監督が別途集計し直す手間が減り、月末の出面集計にかかる時間を圧縮できます。日報の入力が習慣化している職人が多い会社ほど効果を感じやすい方法です。

それぞれの向き不向きと注意点

主な選び方の目安は次のとおりです。

  • 現場数が少なく費用をかけたくない会社はエクセルから着手しやすい
  • 複数現場を抱え見積から原価まで一括管理したい会社はシステム導入が向いている
  • 日報の入力習慣がすでにある会社は日報連動型が定着しやすい

どの方法も、記録のルールを職人と共有できていなければ数字の精度が上がりません。仕組みを選ぶ前に、誰が何をいつ記録するかを決めておくことが結果を左右します。

方法 初期費用の目安 運用の手間 向いている会社
エクセルで原価台帳を作る 低い 入力・集計ともに手作業が多い 現場数が少なく小さく始めたい会社
原価管理システムを導入する 中〜高い 初期設定後は自動集計が中心 複数現場を抱え月中に採算を見たい会社
日報と出面管理を連動させる 低〜中程度 日報入力さえ定着すれば手間が少ない 職人がLINEなどで日報を送る習慣がある会社

工事別の原価管理を始める手順

まず1現場だけで試してみる

いきなり全現場に新しいルールを広げると、現場も事務所も混乱しやすくなります。たとえば〇〇邸の外壁塗装工事など、工期が読みやすい1件を選び、人工・材料費・外注費を試しに記録してみる進め方が無理がありません。うまくいけば次の現場に広げ、合わなければ記録項目を調整すれば済みます。

人工と経費の記録ルールを職人と共有する

人工の数え方や経費の計上基準が現場ごとにばらついていると、集計した数字を比較できません。半日は0.5人工、終日は1.0人工といった基準や、立て替え経費の扱いを事前に職人と現場監督で合わせておく必要があります。ルールを紙やLINEで共有しておくだけでも、入力の揺れはかなり減ります。

月中に粗利を確認するタイミングを作る

月末にまとめて確認する方法では、歩掛(作業1単位あたりの工数)が崩れていても気づいた時には手遅れです。工期の中間地点など、月中に一度は現場ごとの進捗と原価を照らし合わせる場を作っておきます。現場監督と事務方が短時間でも数字を見る習慣ができると、違和感に早く気づけます。

集計の手間を減らす仕組みに置き換える

記録のルールが固まってきたら、手集計の部分をできるだけ減らしていきます。日報からの自動集計やシステム連携に置き換えることで、現場が忙しい月でも記録が止まりにくくなります。手間の削減は精度を保つための前提であり、仕組み化の最終的な目的です。

LINEの日報から粗利を把握する利用イメージ

職人が普段どおりLINEで日報を送る1日の流れ

これは利用イメージです。たとえば職人の山田さんが、◯◯建設の現場で下地処理とケレン作業を終えた夕方、いつも使っているLINEで「◯◯邸 外壁 下地処理 終日」と日報を送ります。専用アプリを新しく覚える必要がなく、普段のやり取りの延長で入力が完了します。

現場名や人工が自動で整理される仕組み

送られた日報は、現場名の略称や全角数字が入っていてもAIが正式な現場名に直し、終日なら1.0人工、半日なら0.5人工として自動で判定されます。山田さんの言い回しのクセも学習機能が覚えていくため、入力の仕方を細かく統一しなくても記録が揃っていきます。送信から3分間は取り消せる猶予があるため、入力ミスに気づいたときもすぐ直せます。

月末に管理者が現場ごとの粗利を確認する場面

出面は自動で台帳に記録され、労務費も自動で計算されます。月末、管理者は現場ごとの粗利レポートを開き、◯◯邸の現場が想定どおりの歩掛で進んだか、別の現場で人工がかさんでいないかを確認します。金額が見えるのは管理者だけなので、職人には普段どおりの日報を送ってもらいながら、経営側だけが採算を把握できる状態が作れます。

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Anga Starter 月額2,000円(税込2,200円)・3ヶ月無料

いまご提供しているのは日報の Starter プランです。発注・見積・請求は上位プラン(近日公開)で対応予定です。

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よくある質問

Q. 塗装業の利益率は何パーセントくらいが目安ですか

会社の規模や元請け・下請けの立場、工事内容によって大きく異なるため、業界共通の明確な目安はありません。自社の過去の工事を工事別に原価管理し、現場ごとの粗利率を蓄積して自社なりの基準を作ることが、実態に合った目安を持つ近道です。

Q. エクセルでの原価管理とシステム導入はどちらから始めるべきですか

現場数が少なく、まずは工事別に数字を残す習慣をつけたい段階であればエクセルから始めても十分です。現場数が増えて集計が追いつかなくなってきたタイミングで、日報連動やシステム導入への切り替えを検討する進め方が無理なく移行できます。

Q. 職人に原価管理への協力を依頼すると反発されませんか

いきなり細かい数字の入力を求めると負担に感じられやすくなります。普段使っているLINEでの日報など、すでにある習慣の延長で記録できる仕組みを選び、人工の数え方などルールを先に共有しておくと、協力を得やすくなります。

この記事の監修

井上恭介(株式会社イーテクノス 代表取締役)

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