現場またぎ材料費が粗利を2〜4%削る——正しい工事別原価配賦法

>

現場またぎ材料費が粗利を2〜4%削る——正しい工事別原価配賦法

現場またぎ材料費が粗利を2〜4%削る——正しい工事別原価配賦法

「余った塗料は次の現場で使えばいい」——その判断が、工事別原価を毎回狂わせています。外壁塗装10件分の材料費を積み上げると、どこかの現場が丸ごと赤字になっている。この記事では、現場またぎ材料費を工事別原価に正しく乗せる具体的な方法を解説します。


現場またぎによる粗利ロス目安

2〜4%

余り材料を未計上のまま次現場に回し続けた場合の工事別粗利誤差の体感値

DX推進による営業利益率改善実績

5.5%

株式会社結建装がデジタルツール導入・業務効率化により達成した営業利益率の改善幅

外壁塗装1件あたりの資材品目数目安

10品目超

下地処理材・プライマー・中塗・上塗・シーリング・養生含む現場別管理が必要な資材数の感覚値

Q. 余り材料を次の現場に回して何が問題なのですか?

結論から言えば、「材料費ゼロ」として処理された現場が実際には原価を消費しているため、工事別の粗利が正確に見えなくなります。

夜21時、事務所のデスクに積まれた納品書をめくりながら、「この現場は思ったより利益が出たな」と感じたことはないでしょうか。その感覚は、たいていの場合、錯覚です。

具体的に考えてみます。外壁塗装の現場でクリーンマイルドシリコン(通称クリマイ)の16kgを1缶余らせたとします。塗装面積200㎡の次の現場で「手持ち在庫で対応」と処理すれば、その缶の仕入コストはどこにも乗りません。

  • 前の現場:余り分を捨値で評価 → 原価が実態より低く見える
  • 次の現場:材料費ゼロで計上 → 粗利が実態より高く見える
  • 結果:どちらの現場も「本当の利益」が分からない

10件の外壁塗装を走らせれば、このズレが積み重なります。材料費の「現場またぎ」が常態化すると、見積時の歩掛(作業1単位あたりの工数)や標準塗布量の精度検証もできなくなります。

原価管理の土台が崩れる、これが本質的な問題です。

Q. では、余り材料を原価に乗せる正しい方法は何ですか?

正しいアプローチは、余り材料を「社内在庫として金額評価し、使用した現場に移動原価として計上する」ことです。

手順は以下の3ステップです。

  • ステップ1:現場クローズ時に余り材料を「色番・品番・残量・仕入単価」で在庫台帳に記録する
  • ステップ2:次の現場で使用した際に「払い出し伝票」を起票し、該当現場の材料費に加算する
  • ステップ3:月末に在庫残高と実地棚卸を照合し、差異があれば廃棄・紛失として費用処理する

現場帰りの軽トラの荷台に半缶残ったクリマイを積んで帰社する。そのまま倉庫に入れるだけでは「存在しない在庫」になります。品番・日塗工色番(例:N80・ND-105など)・残容量を30秒でメモするだけで、翌月の原価精度が全く変わります。

塗装業では希釈率によって使用量が変動するため、実使用量ベースで原価を追う必要があります。「缶の残り半分」を0.5缶として記録するのではなく、kg換算・希釈後の延べ塗布面積で管理すると実態に近い原価が出ます。

この作業自体は難しくありません。続かない理由はほぼひとつ、「記録する仕組みが現場に存在しないから」です。

余った缶を倉庫に戻しても、どこにも記録が残らないんですよね

Q. なぜ今まで誰もこの管理をやってこなかったのですか?

理由は3つあります。塗装業の構造に起因するため、根性論では解決しません。

第一に、材料費の粒度が細かすぎます。外壁塗装1件でも、下地処理材・プライマー・中塗り・上塗り・シーリング材・養生テープなど資材は軽く10品目を超えます。これを現場ごとに追跡するのは、専用の仕組みなしには現実的ではありません。

第二に、余り材料を「ロス扱い」にする慣習があります。「どうせ余るから見積に多めに乗せておく」という発想は、標準塗布量の管理精度を最初から諦めた考え方です。

現場監督がLINEで職人から送られてくる日報の写真を確認しながら、残缶数を頭の中だけで把握しようとしている——この光景が毎日どの会社でも繰り返されています。

第三に、「工事別原価」という概念が会社に根付いていないケースが多いです。月次の損益計算書を見て「今月は黒字だった」で終わり、どの現場が利益を生んでどの現場が削ったかを把握していない。

株式会社結建装がDX推進により営業利益率を5.5%改善した事例が報告されていますが、その出発点は「どこで利益が出ているかを見える化した」ことです。材料費の現場別管理は、その最初の一歩になります。

現在、中東情勢による原料価格高騰が塗料の仕入コストを押し上げており、2026年まで継続が見込まれています。単価が上がるほど、余り材料の管理コストは相対的に下がり、管理する価値は高まります。

Q. Angaを使うと、この管理がどう変わりますか?

Angaは塗装会社の経営者が自ら開発した原価・発注管理ツールです。開発者は株式会社イーテクノスの井上恭介氏で、塗装現場の実務を知らない開発者が作った汎用ツールとは設計思想が根本的に異なります。

「色番N80を間違えて発注してしまった」「クリマイをクリーンマイルドシリコンと入力し直すのが毎回手間」——こうした塗装業固有の作業摩擦を減らすために設計されています。職人ごとの略語・通称をシステムが学習するため、現場からの報告をそのまま原価データに変換できます。

Angaで「現場またぎ材料費」の管理がどう変わるかをまとめます。

  • 余り材料を現場クローズ時にアプリで記録 → 自動で社内在庫に登録
  • 次の現場で払い出す際に現場を選択 → 移動原価として自動計上
  • 工事別の材料費・粗利がリアルタイムで確認可能
  • 色番・品番・希釈率も入力フィールドで管理

船井総研のグロースクラウド導入で見積書作成時間を大幅短縮した事例のように、「仕組み化」が時間と利益の両方を改善します。Angaが目指すのは、塗装会社が現場ごとの利益を当たり前に把握できる状態です。

月に10件の現場を走らせている会社なら、余り材料の管理精度を上げるだけで粗利2〜4%の改善は十分に届く射程にあります。

あわせて読みたい

By

お問い合わせ

些細なことでもお気軽にご連絡ください。