36万円請求漏れ、日報未導入の塗装会社の末路
外壁塗装158戸・工期47日の現場で、職人の記憶頼りの請求書作成が招いた36万円の漏れ。原因は日報が紙のままだったことでした。
1. 158戸・47日の現場で何が起きたか
2. 月末、請求書を作る段になって数字が合わない
3. 支払い遅延も同時に起きていた
4. 次の現場でやり方を変えた
158戸・47日の現場で何が起きたか
舞台は築28年の分譲マンション、5階建て2棟158戸の外壁改修工事です。
工期47日、延べ人工は192人工、使用した塗料は下塗り・上塗り合わせて大缶(16kg)で84缶。元請からの請け負い金額は980万円でした。
現場監督は1人。日報は職人が現場終わりにメモ用紙に手書きし、月末にまとめて監督が請求書に転記する体制でした。
工期中に足場の仮設が3日延び、追加のケレン(下地の錆や旧塗膜を削る作業)が2日分発生しました。ここが後の火種になります。
月末、請求書を作る段になって数字が合わない
工期が終わり、経理担当が請求書をまとめようとしたところ、追加作業の2日分がどの日報にも記載がありませんでした。
監督が職人3人に聞き取りをしましたが、「たしか3階のB棟だった気がする」「いや4階じゃなかったか」と記憶があいまいでした。
記憶頼りが生んだ36万円のズレ
2日分の追加ケレンは人工換算で6人工、材料費込みで約36万円相当でした。手書きメモは現場終了後に処分されており、裏付ける記録がありませんでした。
結局この36万円は請求書に反映できず、そのまま自社の持ち出しになりました。工期47日のうち、記録の穴が2日分あっただけで、利益率にして工事全体の約3.7%が消えた計算です。
支払い遅延も同時に起きていた
問題はそれだけではありませんでした。元請への請求書提出が工期終了から11日後にずれ込み、支払いサイト(支払いまでの猶予期間)込みで入金が当初予定より18日遅れました。
理由は単純で、監督が別現場と掛け持ちしており、月末の請求書作成に丸2日かかっていたためです。手書きメモを日付順に並べ替え、缶数と人工を電卓で再計算する作業だけで1日8時間、2日間拘束されていました。
請求漏れと支払い遅延は別の問題に見えて、根っこは同じでした。施工日と金額をその場で記録する仕組みがなかったことです。
次の現場でやり方を変えた
この一件のあと、会社は次の現場から施工日・使用缶数・人工数をその日のうちにスマホで記録する方式に切り替えました。
次に受注した築15年の戸建て10棟の分譲地現場(工期23日、延べ68人工)では、記録の抜けがゼロになりました。請求書作成の時間も、月末の2日がかりから約40分に短縮されました。
記憶に頼らず、現場でその日のうちに数字を残す。この一点だけで請求漏れと支払い遅延の両方が解消しました。
記録アプリの選び方で私たちが重視したのは、職人が現場で使えるかどうかでした。入力項目が多すぎるアプリは、結局現場で使われず紙のメモに戻ってしまいます。
私たちは自社の現場で同じ36万円クラスの請求漏れを経験し、それがきっかけでAngaという日報アプリを作りました。施工日・缶数・人工をその場でワンタップ記録し、月末の請求書にそのまま反映できる仕組みです。
記憶で請求書を作る体制から抜け出したい会社は、まず1現場だけでも記録をアプリに置き換えてみることをおすすめします。
よくある質問
Q. 現場日報アプリを導入すると請求漏れは本当に減りますか
施工日・人工・缶数をその日のうちに記録すれば、月末に記憶で埋める作業自体がなくなります。上記の事例では記録の抜けが原因の36万円の漏れが、次の現場ではゼロになりました。記録のタイミングを工事当日に変えることが最も効果があります。
Q. 職人が入力を面倒がって使わなくなりませんか
入力項目が多いアプリほど現場で使われなくなる傾向があります。施工日・缶数・人工数など最低限の項目にワンタップで残せる設計かどうかを、導入前に必ず職人に実際に触らせて確認することをおすすめします。
Q. 紙の日報からアプリに切り替える手間はどれくらいですか
事例の会社では次の現場から切り替え、初日は職人への説明に30分程度かかりましたが、2日目以降は通常の日報記入と変わらない時間で運用できています。慣れるまで1週間程度見ておくと無理がありません。