塗料希釈率が原価を壊す?班差なくす塗装DX
同じ現場でも班によって塗料使用量が変わり、原価も仕上がりもブレる。この構造の正体と、塗装業ならではの向き合い方を現場目線で解説します。
21時の事務所で起きていること
外壁塗装の現場が終わり、事務所に戻るのは大体21時前後です。
社長が発注書と現場写真を並べて、今日も頭を抱えています。同じ築30年マンション改修なのに、A班とB班で塗料の使用量が缶単位で違う。
希釈率は「規定通り」と口では言いますが、実際は職人それぞれの感覚です。夏場は薄めに、下地が荒れていれば濃めに、というのは経験則としては正しい。
ただそれが数値として残らないため、次の現場でも同じ判断が繰り返せません。
- 標準塗布量は缶に書いてあるが、現場条件で毎回変わる
- 希釈率をメモする班と、メモしない班が混在
- 結果、原価計算のたびに「なぜこの数字」が説明できない
感覚が悪いわけではなく、感覚しか残っていないことが問題です。
歩掛と塗布量がブレる本当の理由
希釈率のブレは、職人の腕の差ではなく記録の仕組みの差です。
ベテランは季節・下地・膜厚を体で判断できますが、その判断根拠を毎回言語化してはいません。歩掛(作業1単位あたりの工数)も同様で、口頭伝承のまま数字化されていない会社が多いです。
例えば同じシリコン系上塗りでも、クリマイ(クリーンマイルドシリコン)を使う班と、別の指定色番(日塗工N-80など)で使う班があると、希釈感覚が微妙に変わります。
- 3分艶と艶消しでは希釈のクセが違う
- 見切り部分のケレン具合で下地の吸い込みが変わる
- 養生の広さで一度に使う量の感覚が変わる
こうした「現場ごとの微調整」が全部職人の頭の中にあり、会社には残らない。これが原価がブレる根本構造です。
業界の外側から迫るプレッシャー
塗装業界は今、内側だけでなく外側からも構造の見直しを迫られています。
2025年12月施行の改正建設業法では、契約書の記載事項が厳格化され、著しく短い工期の禁止や、天候・下地状況などのリスク情報提供義務が新たに定められました。
つまり「職人の感覚でなんとかしてきた」現場運営そのものが、契約段階から見直しを求められる時代になっています。
さらに労働条件改善による人件費上昇も避けられず、価格転嫁の仕組み整備が急務とされています。
- 契約書にリスク情報を明記する必要が出てきた
- 人件費上昇分を見積にどう反映するか説明責任が増した
- 感覚ベースの原価管理では、この説明ができない
LINEに溜まった日報を見返しながら、「この現場、結局いくら儲かったのか」と社長がつぶやく夜は、もう珍しくありません。
希釈は俺の感覚だからよ、って言われても原価出ないんだよな
Angaが塗装業に特化した理由
Angaは、塗装会社経営者である井上恭介(株式会社イーテクノス)が自社の現場で感じた課題から作られています。
色番N80を発注書に書くつもりが、似た色番と混同して発注してしまった経験。班ごとの利益が現場終了後まで見えなかった経験。こうした「塗装業だけの悩み」がベースにあります。
Angaは職人の癖、例えば「クリマイ」と略して呼ぶ塗料名や、希釈率のメモの取り方まで学習し、発注・原価の記録として蓄積します。
- 現場ごとの希釈率・使用量を自動で記録し比較できる
- 色番の略称や職人特有の呼び方を認識して発注ミスを防ぐ
- 班ごとの原価をリアルタイムで可視化する
汎用の業務ツールでは、この「塗装業特有の言葉と癖」までは追えません。感覚を否定せず、感覚を記録に変えることが目的です。