塗料在庫が崩壊する理由|余剰と欠品の同時発生構造

>

塗料在庫が崩壊する理由|余剰と欠品の同時発生構造

塗料在庫が崩壊する理由|余剰と欠品の同時発生構造

倉庫にシーラーが10缶眠っているのに、明日の現場でND-90が足りない。この矛盾は監督の腕の問題ではなく、発注の仕組みが壊れているだけです。


1. シーラーは余り、艶消しトップだけ切れる朝

2. 症状の奥にある3つの原因

3. なぜこの問題は今まで放置されてきたか

4. 仕組みで断つには何を変えるか

シーラーは余り、艶消しトップだけ切れる朝

塗料メーカーの営業所が閉店間際、駆け込みで1斗缶を買い足す監督の姿はもう珍しくありません。

倉庫を覗くと下塗り材はケース単位で余っているのに、当日仕上げに使う色番だけが足りない。よくある光景です。

在庫は積み上がっているのに欠品も起きる。これは矛盾ではなく、発注の判断基準がバラバラだから起きる当然の結果です。

症状の奥にある3つの原因

原因1:発注が「人」に紐づいている

塗料の数量は、現場監督が過去の記憶と勘で決めています。築何年のマンション改修で何缶使ったか、頭の中にしかデータがありません。

監督が変われば発注量も変わります。同じ延べ床面積の現場でも、Aさんは余裕を見て多めに、Bさんはギリギリで発注する。会社としての基準がないので、在庫は個人差の積み重ねで膨らみます。

原因2:標準塗布量と希釈率が現場ごとに違って見える

下地処理の状態、気温、職人の癖によって、同じ塗料でも使用量は変わります。標準塗布量はカタログ値通りにいかないのが実情です。

この「ブレ」を数値化せず経験則のまま扱っているので、発注のたびに読みが外れます。多めに発注して余らせるか、ギリギリで攻めて欠品するか、極端な二択になりがちです。

原因3:原油高騰で「多めに買っておく」判断が裏目に出る

資材価格が上がると、監督は値上がり前に多めに確保しようとします。心理としては自然です。

ただしこの判断も現場ごとにバラバラなので、会社全体で見ると同じ色番を複数の現場担当者がそれぞれ多めに発注し、結果として重複在庫が生まれます。塗装工事業の倒産が2026年に入って前年より増えている背景には、こうした資材高騰と資金繰り圧迫が重なっている事情があります。

なぜこの問題は今まで放置されてきたか

理由は単純で、在庫の無駄が「見えない」からです。現場が10件あれば発注書だけで月20時間は飛びますが、その時間に見合うほど在庫ロスが可視化されてきませんでした。

決算で棚卸しをして初めて「こんなに余っていたのか」と気づく会社は珍しくありません。現場ごとの利益も決算まで見えないのと同じ構造で、日々の発注はブラックボックスのまま流れていきます。

さらに改正建設業法が2025年12月に施行され、人件費上昇への対応や契約内容の明確化が求められるようになりました。人手の面でも仕組みの面でも、これまでのやり方を見直す圧力が強まっています。監督の勘に頼った発注を放置する余力は、今の塗装会社にはもう残っていません。

仕組みで断つには何を変えるか

精神論で「もっと丁寧に発注しよう」と言っても解決しません。断つべきは仕組みの3点です。

  • 発注データを個人の記憶ではなく会社の記録として残す
  • 現場ごとの使用実績を色番単位で蓄積し、次回発注の根拠にする
  • 在庫の重複を人が気づく前にシステムが警告する

この3つが揃えば、監督が変わっても発注の精度は落ちません。逆に言えば、この3つが揃わない限り、余剰在庫と欠品は原油価格が下がっても繰り返し起きます。

私たちイーテクノスも塗装会社を経営していて、まさにこの発注のブレに悩んできました。色番を間違えて余分な1斗缶を抱えた経験もあります。その反省から自社の現場で使うために作ったのがAngaです。現場ごとの使用実績を記録し、発注の勘を数字に置き換える仕組みを組み込んでいます。まずは自社の在庫がどれだけ「見えていない」か、棚卸しの数字と発注履歴を並べてみることから始めてみてください。

倉庫の在庫と現場の在庫、頭の中でしか繋がってなかったんですよね

よくある質問

Q. 塗料の在庫管理はエクセルでも十分ですか?

現場数が数件なら十分機能します。ただし現場が10件を超えると、色番ごとの使用実績と発注履歴を手入力で追いきれなくなり、更新漏れが欠品や重複発注の原因になります。現場数が増えた段階で仕組み化を検討する目安になります。

Q. 監督の経験に頼る発注のどこが問題なのですか?

経験自体は資産ですが、個人差が会社全体の基準になっていない点が問題です。監督が交代した途端に発注精度が落ちたり、複数の現場で同じ色番を重複発注したりする原因になります。

Q. 原油高騰で在庫を多めに持つのは正しい対策ですか?

短期的には価格上昇の回避になりますが、現場ごとに判断が分かれると会社全体で重複在庫が積み上がります。値上がり局面こそ発注量を会社単位で管理し、色番ごとの必要数を可視化することが有効です。

あわせて読みたい


By

お問い合わせ

些細なことでもお気軽にご連絡ください。