塗料在庫、紙・Excel・アプリ徹底比較
「多めに頼んどけば安心」その一言が、原油高騰の今は欠品と過剰在庫を同時に招きます。塗装会社が抱える在庫管理の限界を、3つの手段で比較します。
1. 倉庫の棚に18缶残っていた話
2. 紙・Excel・専用アプリ、何が違うのか
3. 改正建設業法が在庫管理にも波及する
4. 属人化を抜け出す一歩は小さくていい
倉庫の棚に18缶残っていた話
ある協力会社の倉庫で、使われないまま2年放置されていたシリコン系塗料が18缶見つかったことがあります。担当者はもう退職していて、誰も理由を知りませんでした。
「多めに発注しておけば現場が止まらない」。この判断は一見正しく見えます。ですが原油高騰で塗料価格が動く今、多めの発注は在庫コストをそのまま膨らませます。同時に、別の現場では同じ色番の在庫が足りず、急ぎ発注で割高に仕入れる。同じ会社の中で欠品と過剰在庫が同時に起きるのは、決して珍しい話ではありません。
原因は単純です。在庫の把握が特定の担当者の頭の中にしかないからです。担当者が休めば、現場監督は「多分足りるだろう」で発注し、結果として読みが外れます。
紙・Excel・専用アプリ、何が違うのか
在庫管理の手段は大きく3つに分かれます。紙の在庫台帳、Excelの管理表、そして専用アプリです。
どれも「在庫を記録する」という目的は同じですが、更新の速さと共有のしやすさで差が出ます。紙は現場から事務所に戻らないと更新できません。Excelは誰かが入力し忘れると即座に古い情報になります。アプリはスマホから現場で入力でき、他の担当者もリアルタイムで見られます。
差が生まれる理由は「入力までの距離」です。入力の手間が1つでも増えると、忙しい現場では後回しにされ、結局は記憶頼みの属人化に戻ってしまいます。
| 手段 | 手間 | ミス率 | 共有のしやすさ | コスト |
|---|---|---|---|---|
| 紙の台帳 | 記入・転記に時間がかかる | 高い(記入漏れ・二重発注) | 事務所に戻らないと見えない | 低い(台帳代のみ) |
| Excel管理表 | 入力は早いが更新忘れが起きやすい | 中程度(古い情報での判断) | 共有フォルダ次第だが同時編集に弱い | 低い(既存ソフト活用) |
| 専用アプリ | 現場からスマホで即入力 | 低い(履歴が自動で残る) | リアルタイムで全員が閲覧可能 | 月額費用がかかる |
改正建設業法が在庫管理にも波及する
2025年12月施行の改正建設業法では、契約書への記載事項が厳格化され、著しく短い工期が禁止されました。天候や下地状況などのリスク情報を契約段階で明記する義務も加わっています。
これは在庫管理とも無関係ではありません。工期が明確になれば、必要な塗料の量も逆算しやすくなります。逆に言えば、在庫が「なんとなくの勘」で管理されている会社は、工期の見積もり自体が甘くなりやすいということです。
人件費上昇への対応も同時に求められる中、在庫の無駄を減らすことは、価格転嫁の根拠を示す材料にもなります。
属人化を抜け出す一歩は小さくていい
在庫管理を一気に完璧にする必要はありません。まずは「誰が見ても今の在庫数がわかる状態」を作ることが出発点です。
実際、資材高騰と職人不足が重なり、2026年に入ってから塗装工事業の倒産が前年より増えている状況があります。無駄な在庫や急な欠品による追加コストは、体力の少ない会社ほど重くのしかかります。
選ぶ基準は「現場での入力しやすさ」
紙やExcelがダメというわけではありません。ただ、現場からその場で入力できない仕組みは、結局は誰かの記憶に頼ることになります。
私たちイーテクノスも塗装会社を経営する中で、在庫が担当者の頭の中にしかない状態に何度も困ってきました。開発したのは代表の井上です。現場の職人がLINEで発注内容を送るだけで在庫と発注履歴が残るAngaは、そうした経験から生まれた仕組みの一つです。
完璧な管理システムを探すより、まずは今の発注のクセを誰でも見える形にすること。そこから欠品と過剰在庫の両方を減らす一歩が始まります。
よくある質問
Q. 塗料の在庫管理はExcelだけで十分ですか
小規模で現場数が少なければExcelでも運用できます。ただし現場から離れた場所での入力になりやすく、更新が遅れると在庫数と実際の残量がずれます。現場が5件を超える会社は、入力のしやすさを見直す時期かもしれません。
Q. 在庫管理を属人化させないためにまず何をすべきですか
担当者以外も在庫数を確認できる状態を作ることが最初の一歩です。紙でもExcelでも構いませんが、更新のタイミングと入力ルールを決めて、誰が見ても同じ情報にたどり着けるようにすることが出発点になります。
Q. 原油高騰で塗料の発注量はどう見直せばいいですか
多めの発注は価格変動リスクへの備えになりますが、過剰在庫と資金繰りの負担も増やします。現場ごとの使用実績を記録し、必要量に近い発注へ段階的に見直すことで、欠品と過剰在庫の両方を減らせます。