「あの現場だけ材料費が低い」原価が合わない本当の理由
外壁塗装の現場で余った塗料、次の現場に回していませんか。その一手間が、御社の原価を永遠に一致させない元凶かもしれません。
余り塗料の使い回しは「善意」から始まる
職人が余った塗料を次の現場に持ち込むのは、悪気があってのことではありません。
むしろ「もったいないから」という善意です。1斗缶に3分の1残った日塗工N-80を、翌週の別現場のシーラーに回す。これは塗装業では日常的な光景です。
しかし会計上は、この塗料は最初の現場の材料費として計上されています。使い回した瞬間、2つの現場の原価はどちらも「実態と違う数字」になります。
夜21時の事務所で、社長が今月の粗利を電卓で叩きながら「あれ、この現場だけ材料費が異常に低いな」と首をかしげる。これがまさにその瞬間です。
- 現場Aの原価は実際より高く見える
- 現場Bの原価は実際より安く見える
- 積み重なると会社全体の損益がぼやける
善意の使い回しが、経営判断を狂わせる最初の一歩になっています。
歩掛と希釈率が「見えない在庫」を生む
塗装業の原価管理が難しい理由は、標準塗布量と実際の使用量が現場ごとにズレるためです。
下地処理の状態、気温、湿度によって希釈率は変わります。ケレン(下地の錆や旧塗膜を落とす作業)が甘ければ吸い込みが増え、同じ坪数でも使用量が変わってきます。
築30年マンションの改修現場では、ベランダの劣化具合が住戸ごとにバラバラです。1住戸で余った塗料を、隣の住戸や別現場に流用するケースは珍しくありません。
- 発注書には「1現場=1回分」の数量しか書かれない
- 実際は複数現場をまたいで塗料が移動する
- 在庫と原価がどんどん乖離していく
LINEに溜まった日報を見返しても「余った分は次で使います」としか書かれておらず、どの現場にいくら使ったのか誰も追えません。これが「見えない在庫」の正体です。
改正建設業法で原価の甘さが許されなくなる
2025年12月施行の改正建設業法では、契約書の記載事項が厳格化されます。請負代金の変更方法も明確化が求められています。
つまり「なんとなくの原価」で見積もりを出す時代は終わりつつあります。塗料の使い回しで原価が不明瞭なままだと、価格転嫁の根拠すら示せません。
加えて、職人不足と資材高騰が重なり、2026年に入ってからも塗装工事業の倒産が前年同期比で増えている状況です。原価が見えない会社ほど、値上げ交渉の場面で言葉に詰まります。
元請から「なぜこの現場は材料費が高いのか」と聞かれたとき、答えられる社長は多くありません。
- 契約書に塗装特有のリスクを明記する義務が発生
- 原価の根拠を求められる場面が増える
- 使い回しの慣習がそのまま経営リスクになる
現場監督が電話口で色番を確認する声も、実は原価管理の一部です。
Angaが現場ごとの原価を「勝手に」揃える理由
Angaを開発したのは、塗装会社を実際に経営する株式会社イーテクノスの井上恭介です。自身も現場で「色番N-80を発注し間違えた」経験があります。
汎用の発注ツールでは、塗装業特有の「余り塗料の使い回し」を前提にした設計になっていません。だからこそAngaは、現場ごとの使用実績をLINEでの日報や写真から拾い上げ、原価に自動反映します。
職人の癖(「クリマイ」と呼べばクリーンマイルドシリコンと自動変換するなど)も学習し、発注ミスと使い回しの両方を減らす設計です。
- 現場Aで余った塗料を現場Bで使っても記録に残る
- 原価が現場ごとに正確に積み上がる
- 元請への説明資料もそのまま使える
「余ったら次で使えばいい」という現場の当たり前を否定せず、記録だけを正確にする。これがAngaの立ち位置です。
余った塗料、次の現場で使うのは普通のことです