塗料使用量が不明で赤字現場を見逃す理由

>

塗料使用量が不明で赤字現場を見逃す理由

外壁塗装の見積もりは坪単価で出しているのに、実際に何缶使ったかは誰も記録していません。塗装業の利益率が現場ごとにバラつく本当の原因を、3層に分けて分解します。


1. 症状:利益率が高いはずの現場が、なぜか薄利で終わる

2. 本当の原因①:使用量の記録が「缶の数」でしか残らない

3. 本当の原因②:現場ごとの数字が、決算という1つの箱に溶ける

4. なぜ今まで放置されてきたのか

5. どうすれば断てるか:記録を「入力の手間」から「自動で残る数字」に変える

症状:利益率が高いはずの現場が、なぜか薄利で終わる

3階建ての戸建て、足場も良好、下地処理も楽勝。見積もり時点では「今期一番の優良案件」だったはずの現場が、終わってみれば粗利15%そこそこ。逆に難有りの築30年マンション改修が、想定より利益が残っていたりします。

多くの塗装会社では、この差がなぜ生まれたか誰も検証しません。理由は単純で、現場ごとの塗料使用量を記録していないからです。標準塗布量(1㎡あたりに必要な塗料量の目安)と実際の使用量を突き合わせる作業を、そもそもやっていない会社がほとんどです。

見積もりは「経験上このくらい」で出し、発注も「いつもの量+予備」で決める。この2つの勘が一致していれば利益は出ますが、ズレていても誰も気づけない仕組みになっています。

本当の原因①:使用量の記録が「缶の数」でしか残らない

現場监督に聞くと「何缶使ったかは把握している」と答える人が大半です。ただし、それは請求書や納品伝票の缶数であって、実際に壁に塗った量とは別物です。

希釈率(塗料を薄める割合)は職人によって微妙に違います。同じ規定の希釈率でも、夏場と冬場、下地の状態、職人の癖で塗り重ねの厚みが変わります。缶数は記録に残っても、それが「適正だったか」「余分に使ったか」を判定する基準がどこにもありません。

結果として、原価計算は「塗料代=発注した缶数×単価」という粗い数字になります。これは実際の原価ではなく、発注額でしかありません。

本当の原因②:現場ごとの数字が、決算という1つの箱に溶ける

月次でも粒度が粗すぎる

多くの塗装会社は、原価管理を「今月の材料費」「今月の外注費」という会社全体の集計で見ています。現場Aで余った塗料を現場Bで使い切っても、どちらの現場の原価だったかは記録上わかりません。

決算で初めて「今期は苦しかった」と気づく

個別の現場が赤字でも、他の現場の黒字に埋もれて見えなくなります。経営者が違和感に気づくのは、たいてい決算書を見たときです。その時点では、どの現場のどの工程で崩れたのか、もう検証のしようがありません。

これは経営者の能力の問題ではなく、現場単位でデータを取る仕組みが最初から存在しないという構造の問題です。

なぜ今まで放置されてきたのか

塗料使用量を現場ごとに記録する作業は、地味で手間がかかります。塗装工事1件ごとに「何㎡塗って、何リットル使ったか」を毎回入力するのは、紙の日報やExcelでは現実的に続きません。

現場が10件同時に動いていれば、日報だけで管理側の工数は膨らみます。職人に「使った量を正確に報告してくれ」と頼んでも、現場では養生や段取りに追われて後回しになります。

さらに、仮に記録が残っても、それを見積もり時の想定と自動で照合する仕組みがなければ、結局「見るだけ」で終わります。忙しい現場監督が、Excelを開いて過去の類似現場と比較する時間は、現実にはほぼ取れません。

精神論で「ちゃんと記録しよう」と言っても定着しないのは、記録すること自体に価値を感じられる仕組みがないからです。

どうすれば断てるか:記録を「入力の手間」から「自動で残る数字」に変える

断つべきは2点です。1つは、現場ごとの塗料使用量と面積を紐づけて記録する習慣。もう1つは、その記録を見積もり時の想定原価と自動で比較できる状態にすることです。

この2つが揃って初めて、「利益率が高いはずの現場でなぜ薄利だったか」を後から検証できます。逆に言えば、この仕組みさえあれば、次の見積もりの精度も上がっていきます。

缶数は覚えてても、どの現場でいくら儲かったかは決算まで分からんかった

私たちイーテクノスも、もともとは自社の塗装現場で同じ壁にぶつかっていました。現場ごとの実際原価が決算まで見えず、どの現場が本当に儲かっているのか把握できないまま数年が過ぎていたのです。

その経験から開発したのが、現場ごとの発注・使用量・原価をひとつの画面で管理できるAngaです。LINEでの発注をそのままデータ化し、現場別の粗利を自動で可視化する仕組みにしています。

勘で決めてきた塗料使用量を、数字で検証できる状態に変えたい会社には、こうしたツールも選択肢のひとつになります。

よくある質問

Q. 塗装業の利益率は平均でどのくらいを目安にすればいいですか?

会社の規模や元請・下請の立場で大きく変わるため一律の目安はありません。重要なのは平均値ではなく、現場ごとの粗利のバラつきを把握することです。バラつきの原因が塗料使用量にあるケースは少なくありません。

Q. 塗料使用量を現場ごとに記録する簡単な方法はありますか?

最初は発注時に「現場名・面積・使用予定量」をセットで残すだけでも効果があります。紙やExcelでも始められますが、現場数が増えると入力負担が大きくなるため、発注データが自動で現場別に蓄積されるツールを使う会社も増えています。

Q. 見積もり時の塗料使用量と実際の使用量がズレる主な原因は何ですか?

希釈率の違い、下地の劣化度合い、職人ごとの塗り重ねの癖、気温や湿度による乾燥速度の差が主な原因です。いずれも現場ごとに記録して初めて傾向が見えるため、記録の習慣がないと原因の特定自体ができません。

あわせて読みたい


By

お問い合わせ

些細なことでもお気軽にご連絡ください。