段取り400時間を原価計上しない塗装会社が2026年に消える理由
「段取り8割、作業2割」と口にしながら、段取りにかかった時間を一度も原価に計上したことがない塗装会社は少なくありません。2025年12月施行の改正建設業法で労務費の構成明示が求められる時代、その習慣が経営の命取りになります。
その『無償の2時間』が積み重なって会社を削っています
朝7時の現場集合に間に合わせるため、職人は6時には倉庫に入っています。
色番N80の確認電話、希釈率(塗料を薄める割合)の再チェック、養生テープとマスカーの積み込み、元請けへの入場申請——これだけで1人あたり1〜2時間が飛びます。
10人の職人が月20現場をこなせば、段取りだけで400時間前後の労働が発生しています。しかしその時間は「作業していないから」という理由で、請求書にも原価表にも載らないまま処理されています。
夜21時の事務所で電卓をたたきながら、「この現場、利益が出ているはずなのに手元に残らない」と首をかしげた経験がある社長は、ぜひ一度立ち止まってください。
利益が出ているように見える現場ほど、実は原価が嘘をついているケースがあります。段取り時間を見えなくしている限り、本当の工事原価は永遠に把握できません。
塗装業の粗利は材料費・外注費・労務費の三本柱で決まります。このうち労務費だけが「計上されない時間」を抱えたまま放置されているのが、多くの中小塗装会社の実態です。
2025年12月以降、『段取り時間を説明できない会社』は価格交渉で負けます
2025年12月施行の改正建設業法は、塗装業の経営構造を根底から揺さぶります。
改正法では労働者の賃金水準確保と労働条件改善が必須化され、請負代金の変更方法の明確化も求められます。つまり「人件費が上がりました、単価を上げてください」と元請けに交渉するとき、根拠となる労務費の内訳を示せない会社は話を聞いてもらえなくなります。
具体的に何が変わるかを整理します。
- 契約書への記載事項が厳格化され、著しく短い工期は禁止になります
- 天候・下地状況など塗装特有のリスクを契約段階で明記する義務が生じます
- 労務費の構成を工程別に説明できる資料が価格転嫁交渉の武器になります
外壁塗装の現場では、下地処理(ケレン・高圧洗浄)・下塗り・中塗り・上塗りの4工程それぞれに段取り時間が存在します。養生の設置・撤去だけで1工程につき1〜2人工(にんく、作業1日分の労働単位)が消えることも珍しくありません。
軽トラのダッシュボードに積まれたままの出面(でづら、職人の出勤記録)帳を、今すぐ工程別の労務費データに変換できる仕組みが必要です。それができる会社とできない会社の間で、最初の価格転嫁交渉の勝敗が決まります。
倒産急増局面で生き残る会社は『見えないコスト』を数字にしています
2026年に入ってから塗装工事業の倒産件数は前年同期比で増加傾向にあります。職人不足、資材高騰、中東情勢による原油・ナフサ供給不安が中小・零細事業者の経営を直撃しています。
資材が上がれば材料費原価は上がります。職人が足りなければ外注費も上がります。しかし多くの社長は「そもそも自社の正確な原価がどこにあるかわからない」という状態で値上げ交渉に臨んでいます。
LINEに溜まる職人からの日報、手書きの工程表、Excelで管理しようとして挫折したシート——これらが「見えないコスト」の温床です。
築30年マンションの改修現場を例にとります。外壁の旧塗膜をケレン(塗膜除去)する前に、職人は足場の安全確認・養生設置・使用塗料の色番(日塗工・NDコード)確認・希釈率調整を行います。この一連の段取りが歩掛(ぶがかり、作業1単位あたりの工数)に含まれていなければ、見積もりは最初から赤字構造になっています。
倒産していく会社と生き残る会社の違いは、設備投資の大小ではありません。段取り時間を含む本当の原価を把握し、それを根拠に価格を提示できるかどうかです。
段取りを原価に入れたら、黒字だと思ってた現場が全部グレーでした
Angaが塗装業に特化した理由——開発者自身が原価の嘘に気づいた経営者でした
Angaを開発したのは株式会社イーテクノスの代表・井上恭介です。井上は塗装会社の経営者として現場に立ち続けた人間です。
「色番N80のつもりでND-401を発注してしまった」「クリーンマイルドシリコンを職人が『クリマイ』と略すせいで発注書が通じなかった」——そういった塗装業固有の失敗を体で知っているからこそ、汎用AIではなく塗装業専用の仕組みを作りました。
Angaが解決するのは次の3点です。
- 段取り時間を工程別(下地処理・養生・吹付・仕上げ)に記録し、労務費原価として自動計上します
- 職人ごとの作業癖や略語(クリマイ・3分艶・見切りなど)を学習し、発注ミスを減らします
- 工程別の原価データを元請けへの価格説明資料として出力できます
「現場ごとの利益が本当に見えていなかった」という経営者が最初に実感するのは、段取り時間を含めた労務費の合計が想定の1.2〜1.5倍になるという事実です。それは損失ではなく、ずっとそこにあったのに計上されていなかったコストです。
2025年12月以降の価格転嫁交渉で「根拠のある数字」を持って臨めるかどうか。その準備を今から始める会社が、2026年の倒産急増局面を生き残る会社です。